いびき
いびきとは、空気の通り道である気道が狭くなり、空気が通る際に粘膜が振動して生じる音です。成長途中の子どもは気道が狭くなりやすく、いびきをかきやすい傾向にあります。しかし睡眠の質は子どもの心身の健やかな発達にとって重要なため、いびきの原因によっては早急に対応した方が良い場合もあります。
睡眠の質の低下による症状
いびきをかいていてもよく眠れているように見えることがありますが、以下の傾向が見られる場合には、子どもが十分に睡眠を取れていない可能性があります。
- 頻繁な寝返り
- 異常な寝姿勢(のけぞるような姿勢、うつぶせ寝)
- むせや咳
- 寝汗
- 胸郭の動き(呼吸に伴い胸がへこむ)
- 日中の眠気や疲労感
- 落ち着きのなさや多動
- 情緒不安定(怒りっぽい、すぐイライラするなど)
- 授業中の居眠りによる学力低下 など
いびきの原因となる疾患
子どものいびきの主な原因には、以下のような疾患があげられます。
- 扁桃肥大やアデノイド肥大
- アレルギー性鼻炎
- 上気道感染症
- 肥満
- 睡眠時無呼吸症候群 など
以下でそれぞれの疾患について説明していきます。
扁桃肥大とアデノイド肥大
子どものいびきの最大の原因とされるのが、扁桃やアデノイドの肥大です。これらは気道を閉塞し、睡眠の質を大きく損なう場合があります。
扁桃肥大は、食べ物が飲み込みにくくなったり、睡眠時無呼吸の原因となることがあります。アデノイド肥大は中耳炎や副鼻腔炎、特徴的な顔立ち(アデノイド顔貌)の原因にもなります。いずれも症状の程度によっては手術が必要となります。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜が腫れることで気道が狭くなり、いびきを引き起こします。アレルゲンの除去や、抗ヒスタミン薬やステロイド鼻スプレーなどの薬物治療によって改善が可能です。
上気道感染症
上気道感染症は、ウイルスや細菌が鼻、喉、気管などの上気道部分に付着して炎症を起こすものです。インフルエンザ、コロナ、溶連菌などが該当します。炎症は一時的に気道を狭めますが、回復すればいびきも改善します。
肥満
首や喉の周りについた脂肪により気道が圧迫され、いびきや睡眠時無呼吸の原因になります。子どもの場合は年齢や性別ごとの基準(肥満度判定曲線)により肥満の判定を行います。
≪参考≫肥満度判定曲線(出典:日本小児内分泌学会)
男子(1~6才):https://jspe.umin.jp/public/files/himan1-6_boy.pdf
男子(6~17才):https://jspe.umin.jp/public/files/himan6-17_boy.pdf
女子(1~6才):https://jspe.umin.jp/public/files/himan1-6_girl.pdf
女子(6~17才):https://jspe.umin.jp/public/files/himan6-17_girl.pdf
肥満はいびきだけでなく長期的な健康問題に発展する可能性もあるため、食事や運動など生活習慣の見直しが必要です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まってしまう状態を指します。酸素不足によって脳や心臓への影響が懸念されるため、早期の診断と治療が重要です。多くは気道閉塞による「閉塞性」で、扁桃肥大や肥満などが原因になります。
睡眠時無呼吸の診断には、以下の所見が参考にされます。
- 無呼吸:10秒以上の呼吸停止がある
- 低呼吸:呼吸量の著しい減少や、体内の酸素飽和度の低下により、覚醒反応が引き起こされる
- 日中の症状:日中の過度の眠気、疲労感、集中力低下 など
まとめ
いびきが一時的なものであれば様子見も可能ですが、毎晩続く、日中の眠気や行動の異常がみられる場合は、医療機関の受診が推奨されます。良質な睡眠は子どもの健やかな成長に不可欠です。気になるいびきは放置せず、医師に相談して適切な診断と治療を受けることが大切です。
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