打撲
打撲は、打った直後に泣いてもすぐ泣き止み、いつも通り遊べていれば家で冷やして様子を見て構いません。頭を打った後は当日から翌日にかけて、とくに嘔吐、意識、頭痛、手足の動き、けいれんを観察し、その後も新しい症状が出たら受診してください。
受診の目安:頭を打って嘔吐を2回以上した、ぼんやりして反応が鈍い、けいれんした、腫れが強く動かせない・変形している、お腹を強く打った後に腹痛や嘔吐があるときは受診してください。
打撲は、いわゆる打ち身と呼ばれ、転倒や転落など何らかの衝撃が加わることで、体が損傷を受けるものです。
子どもは頭が大きくて重く、バランスを崩しやすいため転倒しやすいという特徴があります。寝返りがうてるようになった赤ちゃんでは、ベッドやベビーカーからの転落事故が起こります。子どもが動くようになってからは、階段や遊具、自転車などからの転落もけがにつながり、ベランダや窓からの転落事故は後を絶ちません。
症状
打撲によって皮膚が変色する皮下出血は「青あざ」ともいわれ、細胞のすき間にたまった血が皮膚を通して見えるものです。青紫色だったものは、時間が経つにつれて黄色から茶色へと変化し、徐々に消えていきます。重力に従って色味の部位が移動することもあります。
対処法
ぶつけたときは冷たい濡れタオルや、タオルでくるんだ保冷剤を使用して患部を冷やします。皮膚表面に作用する冷却シートはおすすめできません。深部への冷却効果はない上に、傷がある場合はシートを使うと悪影響になります。
注意点
胸やおなか、頭部を打撲した場合は命に関わるおそれがあり、注意が必要です。ぶつけたときは症状がなくても、時間が経過してから症状が出現することもあります。
意識が悪い、けいれん、呼びかけへの反応が低い、繰り返す嘔吐、強くなる頭痛、手足の動きの左右差、顔色不良がある場合は救急要請を考えます。嘔吐1回だけで一律に119番とせず、乳児、高所からの転落、強い衝撃では早めに相談してください。
- 頭やおなかなど、受傷部位をひどく痛がる
- 顔色が悪い
- 意識がおかしい
- けいれん
- 嘔吐 など
受傷部位に応じた注意点
頭部打撲
生後数ヶ月でソファーやベッドからの転落、抱っこをしていて落としてしまったというケースもよくあります。心配な場合は受診をおすすめします。
顔色が悪い、嘔吐が頻回である場合は救急車を呼んでください。打った場所が数日後に腫れてきた場合は、骨折の可能性もあるため、病院を受診しましょう。
眼球打撲
目の近くにボールをぶつけたなどで、目の周りにパンダのような跡がある場合には、顔の骨の骨折がないか、目の動きは問題ないかを確認してください。目の周囲をぶつけた場合は、受診をおすすめします。
顔の傷
顔のぱっくり開いた傷は、深さ、出血、汚れ、受傷からの時間によって縫合などの処置が必要です。清潔な布で圧迫し、外科・形成外科・救急など処置可能な医療機関へ早めに相談してください。
☞他のけがや傷に関しては、けがのページもご参照ください。
打った直後に家庭でできること
まず転倒場所やぶつけた物を確認し、出血があれば清潔な布で圧迫します。腫れや痛みには、保冷剤をタオルで包んで短時間ずつ当て、皮膚の色や感覚を確認します。氷を直接当て続けたり、痛む場所を強くもんだりしないでください。
痛む手足は無理に動かさず、本人が楽な位置で休ませます。変形がある、関節を動かせない、手足が冷たい・しびれる場合は、骨折や脱臼、血流障害の可能性があるため当日中に受診します。
頭・胸・おなかを打った場合
頭を打った後に意識を失った、けいれん、繰り返す嘔吐、反応がおかしい、強くなる頭痛、手足の動かしにくさ、耳や鼻から血液や透明な液が出る場合は、すぐに受診が必要です(夜間・休日は救急外来)。眠ること自体を一律に禁止せず、呼びかけへの反応と呼吸が普段どおりかを確認します。
胸やおなかを強く打った後に、息苦しさ、顔色不良、持続する腹痛、おなかの張り、血尿、血を吐く・便に血が混じる場合も、すぐに受診します(夜間・休日は救急外来)。外から腫れが少なくても、体の内側に損傷が隠れることがあります。
受診時に伝えると役立つ情報
受傷した時刻、高さ、床の材質、ぶつけた部位、泣き方や意識の変化、その後の嘔吐、歩き方、使った薬を伝えます。転倒や腫れの写真・動画が安全に撮れていれば、受傷状況と時間による変化の確認に役立ちます。
診察では視診・触診・動きの確認を行い、部位と症状により画像検査を検討します。すべての打撲にレントゲンやCTが必要なわけではありません。検査を行わない場合も、家庭で見る変化と再受診の期限を確認してください。
運動や登園・登校を再開する目安
腫れや痛みが減り、歩く・手を使うなど日常動作が無理なくできることを確認します。頭を打った後のスポーツ復帰は、症状がないことだけで自己判断せず、脳振盪が疑われた場合は医療者の指示に従って段階的に戻します。
翌日以降に確認したい変化
打撲の腫れや皮下出血は、翌日に範囲が広がって見えることがあります。痛みが少しずつ軽くなり、動かせる範囲が戻っているかを確認します。痛みが強くなる、腫れが急に増える、発熱や赤みが出る場合は再受診してください。
痛み止めを使う場合は、年齢と体重に合う処方・表示を守ります。痛みが隠れている間に運動へ戻すと再受傷につながるため、薬が効いているかだけで復帰を判断しません。園や学校には打った部位と避けたい動作を伝えます。
乳幼児では痛い場所を正確に言えないため、片方の手を使わない、抱くと特定の場所で泣く、歩き方が変わる、着替えを嫌がるといった変化を確認します。数日たっても日常動作が戻らない場合は、最初の診察で異常がなくても再評価を受けます。
受傷後に元気でも、普段どおりに手足を使えるか、食事や睡眠に支障がないかを確認します。保護者が見て『いつもと違う』状態が続く場合も受診の理由になります。
関連する病気・症状
よくあるご質問
Q. 打撲したらどう冷やせばよいですか?
冷たい濡れタオルや、タオルでくるんだ保冷剤で患部を冷やします。皮膚表面に作用する冷却シートはおすすめできません。深部への冷却効果がない上、傷がある場合は悪影響になります。
Q. 救急車を呼ぶ目安は?
意識が悪い、けいれん、呼びかけへの反応が低い、繰り返す嘔吐、強くなる頭痛、手足の動きの左右差、顔色不良がある場合は救急要請を考えます。嘔吐1回だけで一律に119番とせず、乳児、高所からの転落、強い衝撃では早めに相談してください。
Q. 頭を打った場合はどうすればよいですか?
心配な場合は受診をおすすめします。顔色が悪い、嘔吐が頻回である場合は救急車を呼んでください。打った場所が数日後に腫れてきた場合は骨折の可能性もあるため、病院を受診しましょう。
Q. 頭を打ちましたが、寝かせてもいいですか?
普段どおり眠れている場合は休ませて構いません。眠っている間は呼吸と顔色を確認し、起こす必要や観察時間は受傷状況と診察時の指示に従います。嘔吐を繰り返す、けいれん、反応が悪い場合は救急です。
Q. 冷やす時間はどのくらいですか?
打った直後は、氷や保冷剤をタオルで包んで15〜20分を目安に冷やし、皮膚の状態を確認します。入浴は傷、腫れ、痛み、全身状態に応じて決め、固定した48時間の制限とはしません。
Q. 骨折との見分け方はありますか?
腫れが強く時間がたっても動かせない、変形している、特定の場所を強く痛がる場合は骨折の可能性があるため受診してください。
(こころみ医学『子供のケガ』内の打撲の部分
https://cocoromi-cl.jp/knowledge/pediatrics/all-season/child-injury/
参考文献
- 日本小児科学会・子どもの予防可能な傷害と対策 — 小児の傷害予防
- 日本小児科学会・傷害速報 — 受傷時の注意
- 厚生労働省・こどもの救急 — 救急受診判断
