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鼻涙管狭窄

鼻涙管狭窄とは、目から鼻へと涙を排出する「鼻涙管(びるいかん)」という細い管が詰まっていたり、狭くなっている状態を指します。
特に新生児や乳児では、先天的にこの管が開通していないことがよくあり(5~20人に1人の割合でみられる)、涙がうまく流れずに目にたまったり、目やにが出たりする症状が見られます。多くの場合は成長とともに自然に治癒しますが、場合によっては医療的な介入が必要となります。

原因

赤ちゃんの鼻涙管狭窄の主な原因は、生まれつき鼻涙管の下端(鼻の出口部分)が膜に覆われていて開通していないことです(先天性鼻涙管閉塞)。胎児期にこの膜が自然に破れて涙の通り道が開くはずですが、生後も残っていると涙が流れず、目にたまりやすくなります。多くは生後1年以内に自然に改善します。
また、まれに鼻涙管が物理的に細すぎる場合や、感染や炎症などによって閉塞を起こしてしまうケースもあります。

症状

鼻涙管狭窄の赤ちゃんには、以下のような症状が見られます。
常に片目または両目に涙がたまっている

  • 涙が頬に流れ出る(流涙)
  • 目やにが頻繁に出る(特に寝起き)
  • 目のまわりが赤くただれることもある
  • 涙が目にたまるため、感染を起こしやすくなる(結膜炎)

ただし、痛みや視力への影響はほとんどありません。

治療

多くの場合は1歳頃までに自然に治ります。そのため、まずは経過観察と自宅ケアが基本となります。主な治療法は以下の通りです。

①自宅でのケア(基本的治療)

  • マッサージ:「涙嚢マッサージ」と呼ばれ、鼻涙管を開通しやすくするものです。目の内側、鼻の付け根あたりを、清潔な人差し指で奥に10回程度やさしく押し下げます。これを1日に3、4回行います。
  • 目やにのケア:ぬるま湯や清浄綿で目やにを優しくふき取り、清潔を保ちます。

② 薬物療法

  • 涙嚢炎を併発している場合、抗菌目薬が処方されることがあります。

③医療処置

鼻涙管開放術(ブジー)

鼻涙管の自然開通が見込めない場合に行います。涙点から細い針金のようなもの(ブジー針)を鼻涙管に差し込んで、涙の流れを邪魔している膜を破る方法です。1歳未満の乳児が対象で、外来で行います。

涙管チューブ挿入術

ブジーを試しても改善が見られない場合に検討されます。シリコン製のチューブを涙道に留置し、開通を維持します。入院と全身麻酔が必要になります。1~2ヶ月後に抜きます。

涙嚢鼻腔吻合術

極めてまれですが、重篤な場合に行われることがあります。涙嚢の内側の粘膜と骨を削り、涙嚢から鼻腔にバイパスを作る手術です。

注意点

  • 自己判断で目薬を使わない:特にステロイド系や抗菌薬は医師の指示に従いましょう。
  • 目の周りを清潔に保つ:感染予防のため、こまめなふき取りと手洗いを心がけてください。
  • 長引く場合は眼科受診を:生後6ヶ月を過ぎても改善が見られない場合、または片目だけ著しく涙や目やにが多い場合には、早めに専門医に相談しましょう。
  • 重篤な感染に注意:涙嚢炎などを併発すると発熱や赤み、腫れを伴うことがあるため、異常があればすぐに受診しましょう。

鼻涙管狭窄は比較的よく起こる乳児の目のトラブルで、多くは成長とともに自然に治癒する良性の状態です。家庭でのマッサージや清潔なケアで対応しながら、必要に応じて医師の指導を仰ぐことが大切です。早めの対処により、赤ちゃんの快適な生活と健康な目を守ることができます。

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