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子どもの皮膚トラブル

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は、乾燥、かゆみ、炎症を特徴とし、慢性的に症状が改善と悪化を繰り返す皮膚疾患です。幼少期に発症し、成長とともに改善することが多いですが、成人期にも続く場合があります。アトピー性皮膚炎の発症には遺伝的要因と環境要因が絡んでおり、特に皮膚が乾燥しやすい体質の人に発症しやすいとされています。

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎は、以下の要因によって引き起こされたり、悪化することがあります。

  • アレルゲン(ダニ、花粉など)
  • 皮膚の乾燥
  • かゆみ
  • 引っ掻き

ストレスや体調不良も症状を引き起こす要因です。

アトピー性皮膚炎の症状

アトピー性皮膚炎では、以下のような症状が現れます。

  • 乾燥
  • 赤み
  • かゆみ
  • 湿疹(ジクジク、ガサガサ、プツプツなど)
  • 肌のざらつき・ごわつき・盛り上がり など

掻き壊すことで悪化することがあります。
年代ごとに症状は異なり、

  • 乳児期では顔や頭に現れ、
  • 小児期では関節部分に集中し、
  • 思春期以降は顔や上半身に症状が現れること

が一般的です。

アトピー性皮膚炎の診断

アトピー性皮膚炎の診断は、以下の症状の有無を見て行います。

  • 痒み
  • 特徴的な皮疹の分布
  • 慢性または反復性の経過

以上の3つを満たすことで、確定診断となります。

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療法には、以下の3つがあります。

  • スキンケア
  • アレルゲン除去
  • 薬物療法

スキンケアでは、保湿剤を使い乾燥を防ぎ、刺激を避けることが重要です。
アレルゲン除去では、掃除や空気清浄機の使用、湿度管理が推奨されます。
薬物療法では、ステロイド外用薬、免疫抑制剤、分子標的薬などが使われます。最近では、免疫反応を特定の分子で抑制する分子標的薬が登場し、特に中等症から重症の患者さんに効果的とされています。

当院では基本的にステロイドを用いた治療を行っています。ステロイドは、適切に使用すれば副作用など心配せずに症状の改善が期待できます。プロアクティブ療法、リアクティブ療法の説明なども含めて、一人一人の皮膚の状態を見て相談していきます。

とびひ(伝染性膿痂疹)

とびひ(伝染性膿痂疹)は、主に小児に見られる皮膚感染症で、黄色ブドウ球菌や溶連菌が原因となります。感染は皮膚の小さな傷口から入り、赤い発疹や水疱、かさぶたを形成します。

とびひには以下の2種類があります。

  • 水疱性膿痂疹:黄色ブドウ球菌が原因
  • 痂皮性膿痂疹:溶連菌が原因

症状と診断

とびひの初期症状には、感染部位の赤みや腫れ、痒みがあります。
種類によって症状が若干異なります。

  • 水疱性膿痂疹:透明または黄色の体液で満たされた水疱が顔や四肢に現れます。破れると黄色や茶色のかさぶたができます。
  • 痂皮性膿痂疹:乾燥した肌やアトピーなどで皮膚のバリア機能が低下している成人にも見られます。赤い発疹から小さな水疱、かさぶたへと進行します。

診断は主に外見や症状から行われ、必要に応じて皮膚サンプルを検査します。

予後と合併症

適切な治療を受ければ、通常1週間程度で回復します。
しかし治療せずに放置してしまうと、以下のような重篤な合併症を引き起こす可能性があります。

  • ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)
  • 溶連菌が引き起こすリウマチ熱や急性糸球体腎炎など

SSSSは特に乳幼児に見られ、皮膚の赤みと剥離が広範囲にわたります。

治療

患部を清潔に保つための一般療法と、薬物療法を並行して行います。

【一般療法】

  • 皮膚を清潔に保つ
  • 患部をガーゼなどで覆い、水疱を掻き壊さないようにして感染の拡大を防ぐ。

【薬物療法】

  • 塗り薬(フシジン酸軟膏):黄色ブドウ球菌に効く抗生物質を含んだ軟膏。1日2~3回、患部に塗る。
  • 内服薬(抗ヒスタミン薬):かゆみを軽減させる内服薬。掻き壊しを抑え、病変の拡大を防ぐ。

病変が広範囲に及び発熱を伴う場合には、抗生剤の内服を行います。
適切に治療すれば、1週間程度で治癒します。

感染拡大の予防

感染拡大を防ぐため、患部を清潔なガーゼで覆います。患部を密閉せず、空気が通るようにすることが望ましいです。
患部に触れた後は手を洗い、爪を短く切ることが重要です。
家庭内では、お子さんが使用したタオルや寝具を他の家族と分けて洗い、感染が広がらないようにします。

よくある質問

・プールに入れるか?
水疱が破れた液体が他の人に触れると感染が広がるので、完治するまでプールは控えましょう。

・市販薬は使えるか?
フシジン酸軟膏は市販されていません。
ステロイド薬(リンデロン)は炎症や痒みの緩和には有効ですが、とびひそのものの治療するものではありません。易感染状態を引き起こす副作用にも注意が必要です。

・どのくらいの期間治療を続けるか?
医師の指示に従い、症状が改善しても治療を中断せず、完全に治るまで続けます。

・保育園や学校は何日間休むか?
ガーゼで患部を覆うことができるなら登園可能ですが、感染拡大防止のため、医師や園、学校に相談しましょう。

伝染性膿痂疹は適切な治療と予防策を講じることで、早期に回復し、感染拡大を防ぐことができます。

乳児湿疹

乳児湿疹とは、生後数週間から数ヶ月の乳児に見られる皮膚の炎症や発疹の総称です。赤ちゃんの肌は非常にデリケートで、大人よりも皮膚のバリア機能が未熟で保水力も弱いため、様々な原因で湿疹が現れやすくなります。

乳児湿疹は一つの特定の病気ではなく、いくつかの異なるタイプの湿疹や皮膚トラブルをまとめて指す言葉です。

原因

乳児湿疹の原因は多岐にわたり、月齢や状況によって様々です。主な原因として、以下のようなものがあります。

  • 皮脂の過剰分泌:生後1〜2ヶ月ごろは、母体から受け継いだホルモンの影響で皮脂の分泌が活発になり、毛穴が詰まって炎症を起こすことがあります(乳児脂漏性湿疹)。
  • 乾燥:生後3ヶ月以降は皮脂の分泌が急激に減少し、乾燥による湿疹(乾燥性湿疹)が目立つようになります。
  • 汗や汚れ:汗やよだれ、ミルクの残りが肌に刺激を与え、かぶれやすくなることがあります。
  • アレルギー:アトピー性皮膚炎の初期症状として現れることもあり、家族にアレルギー体質の方がいる場合は注意が必要です。

症状

乳児湿疹にはいくつかのタイプがあり、現れる部位や見た目も異なります。

  • 新生児ニキビ:生後すぐ〜1ヶ月ごろに顔に赤いぶつぶつが現れます。自然に治ることが多いです。
  • 脂漏性湿疹:頭皮や眉毛、額などに黄色っぽいかさぶたやベタついた発疹が見られます。
  • 乾燥性湿疹:皮膚がカサカサして赤くなり、ひび割れやかゆみを伴うことがあります。
  • あせも:暑い時期に首や背中、わきの下などに小さな赤いブツブツができます。
  • よだれかぶれ:口の周りやあごに湿疹ができ、赤くただれることがあります。

治療

乳児湿疹は多くの場合軽症で、正しいスキンケアを行えば自然に改善します。ただし、以下のような場合には医師の診察が必要です。

  • 湿疹が広がっている、ジュクジュクしている
  • かゆみで眠れない、泣きやまない
  • 発熱や機嫌の悪さを伴う

視診や問診により、患部の状態や月齢、症状の経過などから総合的に診断します。
医師が処方する治療薬には、以下のようなものがあります。

  • ステロイド外用薬:炎症を抑える作用があり、短期間で効果を発揮します。
  • 抗ヒスタミン薬:かゆみを抑える目的で使われることがあります。
  • 保湿剤:皮膚のバリア機能を補強するために、保湿が治療の基本になります。

自宅での対処法

乳児湿疹を悪化させないために、日常的なケアがとても重要になってきます。

  • 清潔を保つ:1日1回はぬるま湯で沐浴・入浴し、汗や汚れをやさしく洗い流します。石けんは低刺激のベビー用のものを使用し、よく泡立てて手で優しく洗ってあげましょう。顔や頭皮を洗浄剤で洗えていない場合が意外と多いです。
    よだれや汗は湿疹の原因になるため、やわらかいガーゼなどでこまめに拭いてあげましょう。
  • 保湿ケア:入浴後はすぐにベビー用の乳液やクリームで保湿して乾燥を防ぎます。乾燥しやすい部位には1日数回塗るのが効果的です。手でそっとなでるように保湿剤を広げます。
  • 爪のケア:かゆくて引っかいてしまうことがあるため、爪を短く整え、手袋を使うことも検討します。
  • 衣類・寝具の清潔:肌に直接触れる衣類やシーツは清潔に保ち、刺激の少ない素材(綿など)を選びます。

注意点

  • 自己判断で薬を使わない:市販薬や親の薬を使用するのは避け、必ず医師の診断を受けましょう。
  • アレルギーの可能性に注意:湿疹が長引いたり、何度も繰り返す場合は、アレルギー体質やアトピー性皮膚炎の可能性を考慮し、小児科や皮膚科を受診するとよいでしょう。
    アトピー性皮膚炎の項目もご参照ください。
  • 保育園や他の子への配慮:乳児湿疹は感染性ではないため、登園を制限されることは基本的にありませんが、炎症がひどいときは医師に相談しましょう。

乳児湿疹は多くの赤ちゃんに見られるごく一般的な皮膚トラブルですが、適切なスキンケアと必要に応じた病院の受診で、ほとんどはきれいに治ります。肌のトラブルを通じて、赤ちゃんの体調や発達に気づくきっかけにもなりますので、日々の観察とケアを大切にしましょう。

おしりの皮膚トラブルについては、おむつかぶれのページもご参照ください。

脂漏性皮膚炎

生後1~2ヶ月でカサカサの湿疹や赤や黄色いポツポツが顔や首、体にできる皮膚炎です。皮脂が過剰に分泌されることで起きる皮膚炎です。
石鹸でよく洗い、保湿剤で良くなることもありますが、症状が改善しなければご相談下さい。

【お気軽にご相談ください】

恵比寿こどもクリニックでは、小児科専門医・アレルギー専門医の保科しほ院長を中心に、『共育て』をモットーに診療を行っています。日々子育てに悩むご両親と同じ目線で、お子さんの病気や健康の問題に向き合うことはもちろん、ご両親の支援にも積極的に取り組んでいます。

より良い医療を追求するために、東京と神奈川を中心にコミュニティ・クリニックを展開している医療法人社団こころみから、運営サポートを受けています。

地域密着型のかかりつけ小児科クリニックとして、お子さんの成長を共に見守っていくことを目指しております。
お子さんの病気や健康のお悩みはもちろん、恵比寿の子育ての安心に貢献したいと思っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

Tel: 03-3442-2525
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(こころみ医学『アトピー性皮膚炎』
https://cocoromi-cl.jp/knowledge/pediatrics/all-season/atopic-dermatitis/

(こころみ医学『伝染性膿痂疹(とびひ)』
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