腹痛
子どもの腹痛は便秘や胃腸炎などで起こることが多い一方、急いで治療が必要な病気が隠れることもあります。強い痛みが続く、何度も吐く、血便、ぐったり、歩けないほど痛がるときは早めに受診してください。
恵比寿こども医学 / 子どもの病気・症状一覧 / 症状別の受診先の目安
痛みの場所と変化を見ます
腹痛では「おへその周り」「右下腹部」など痛む場所、いつからか、だんだん強くなるか、食べる・動く・排便で変わるかを見ます。便や尿の回数、下痢、嘔吐、発熱、血便の有無を記録すると、診察で原因を絞る助けになります。
便秘は子どもの腹痛でよくある原因の一つです。数日出ていないだけでなく、硬い便、排便時の痛み、少量の便が何度も出る状態も確認しましょう。一方で、急に始まって強くなる痛みは、便秘だけと判断せずに評価が必要です。
すぐに受診するサイン
顔色が悪くぐったりしている、痛みで歩けない・体を動かしたがらない、何度も吐いて水分がとれない、血便、緑色の嘔吐、腹部が張っている、右下腹部の痛みが強くなる場合は、当日中に受診または救急へ相談します。乳幼児では、いつもと違う激しい泣き方を繰り返すことも重要なサインです。
診察ではお腹を診るほか、尿検査や血液検査、必要に応じて超音波などを組み合わせ、急いで治療が必要な病気がないかを判断します。検査をするかどうかは年齢、経過、診察所見で決まります。
家庭での過ごし方と園・学校
痛みが軽く全身状態がよければ、無理に食べさせず、少量ずつ水分をとらせます。下痢や嘔吐がある場合は、尿の回数、口の乾き、涙が出るかを見て脱水に注意します。市販薬や下剤を初めて使う前は、原因がはっきりしない腹痛では医療者に相談してください。
痛みが落ち着いていても、原因によっては園や学校での食事・運動を調整します。発症時刻、便や嘔吐の様子、周囲の流行を伝えると、登園・登校の相談がしやすくなります。
子どもの腹痛の多くは便秘や胃腸炎ですが、突然の強い痛みが続く、嘔吐を伴う、お腹が張るときは急性腹症の可能性があり、すぐに受診が必要です。
受診の目安:痛みで歩けない・眠れない、血便、繰り返す嘔吐、発熱を伴う右下腹部の痛みは時間を待たずに受診してください。
子どもの腹痛は、軽度なものから緊急を要するものまでさまざまです。特に急性腹症は放置すると命に関わるリスクがあるため、早期の判断と対応が重要です。そのため、緊急性が高く早急に治療するべき腹痛なのかどうかを見分けることがとても重要です。
この記事では、子どもによくある腹痛を主症状とする疾患の中のうち、頻度の高い疾患、緊急性の高い疾患を中心に解説していきます。
急性腹症
各疾患の解説の前に、見逃してはいけない急性腹症について解説します。
急性腹症の特徴には、以下のような症状があげられます。
- 突然の強い腹痛:痛みが一時的に和らぐこともありますが、また強まることもあります。
- 吐き気、嘔吐、発熱、下痢などの症状を伴うことが多い
- 動くと強く痛がる、腹部が張って硬く見える、顔色が悪い
- お腹を触ると張って硬い感じがする
これらは腹膜炎や敗血症、腸管壊死など、命に関わる重大な異常のサインです。このような症状が見られたら、すぐに病院を受診しましょう。
急性腹症の原因となる疾患
急性腹症の原因となる疾患には、以下のようなものがあります。
1. 急性虫垂炎(盲腸炎)
右下腹部の激しい痛みが特徴で、みぞおちから右下腹部に痛みが移動することがあります。放置すると虫垂が破れて細菌がお腹の中に入り、腹膜炎や腸閉塞を引き起こすリスクが高まります。
炎症の程度によっては、絶食と抗生剤投与で保存的に様子を見ることもありますが、炎症が腹膜に及んでいたり、虫垂が破れている場合は、緊急手術となります。
2. 腸重積
突然強く泣く発作を繰り返す、顔色が悪い、嘔吐する、ぐったりする乳幼児では、血便がなくても腸重積を疑って、すぐに受診します(夜間・休日は救急外来)。超音波などで診断し、条件を満たせば画像で確認しながら空気または造影剤による浣腸整復を行います。
3. 腸閉塞(イレウス)
腸閉塞の治療は原因により、絶食、点滴、胃や腸の減圧、手術などを選びます。高圧浣腸を腸閉塞一般の治療として行うわけではありません。家庭で腹部を強く押して痛みを確かめないでください。
その他の腹痛
1. ウイルス性胃腸炎
ロタウイルスやノロウイルスなどが原因で、腹痛、下痢、吐き気、発熱などの症状が見られます。多くの場合、特別な治療をしなくても数日で回復しますが、症状を和らげる薬を使うことがあります。
急性胃腸炎のページもご参照ください。
2. 便秘
生活習慣や食事の偏りが原因で、腹部の膨満感や腹痛、排便困難などの症症状が見られます。便秘は徐々に進行し、嘔吐を伴わず、腹痛も比較軽度であることが多いです。
水分摂取や食物繊維を含んだ食事、規則正しい生活習慣が予防に効果的です。また適度な運動や、決まった時間(朝食後など)にトイレに行くといった排便習慣をつけることも有効です。
便秘のページもご参照ください。
3. 機能性腹痛(過敏性腸症候群など)
検査で特に原因が見つからない場合、ストレスや不安、生活習慣が関係していることがあります。
リラックスできる環境を整え、規則正しい生活や十分な睡眠、適度な運動が症状の改善に役立ちます。子どもが不安になると、腹痛の再燃や悪化の可能性があるので、優しくサポートしながら症状が落ち着くまで見守りましょう。
まとめ
子どもの腹痛には様々な原因がありますが、急性腹症のように緊急を要する場合もあります。症状を見逃さず、早期に適切な対応をすることが重要です。不安な場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
関連する病気・症状
受診時に伝えると役立つ腹痛の情報
痛みが始まった時刻と場所、波があるか、歩いたり体を動かしたりできるか、最後に食べた時刻、嘔吐・下痢・発熱・排尿の変化を記録します。乳幼児では、急に強く泣いて静かになる発作を繰り返すか、顔色、ぐったり感、緑色の嘔吐がないかも確認してください。
お腹を家庭で強く押して反跳痛を試さず、痛みが強い、繰り返す嘔吐、血便、腹部の張り、顔色不良がある場合は早めに受診します。腸重積では血便が遅れて出ることがあるため、便が出るまで待たないことが大切です。
よくあるご質問
Q. すぐに受診が必要な腹痛はどんなものですか?
動くと強く痛がる、腹部が張って硬く見える、顔色が悪い
Q. 腸重積はどんな症状ですか?
突然強く泣く発作を繰り返す、顔色が悪い、嘔吐する、ぐったりする乳幼児では、血便がなくても腸重積を疑って、すぐに受診します(夜間・休日は救急外来)。超音波などで診断し、条件を満たせば画像で確認しながら空気または造影剤による浣腸整復を行います。
Q. 受診前に食べ物や飲み物を与えてもよいですか?
胆汁(緑色)の混ざった嘔吐や腹部膨満感が見られる場合は腸閉塞の可能性があります。病院に行くまでの間は、食べ物や飲み物を与えないようにしてください。
(こころみ医学『子どもの腹痛』
https://cocoromi-cl.jp/knowledge/pediatrics/pediatrics-symptom/abdominal-pain/)
Q. 腹痛で食べられないときは?
無理に食べさせず、少量ずつ水分をとれるかを見ます。水分もとれない、尿が少ない、痛みや嘔吐が強いときは受診してください。
参考文献
- Acute abdominal pain in children — 小児急性腹痛の鑑別と危険徴候。
- こどもの救急:腹痛 — 家庭での観察と救急受診の判断。
- Royal Children's Hospital:Intussusception — 血便を待たない早期評価と浣腸整復。
