黄疸
黄疸とは、血液中にビリルビンという黄色い色素が増加し、皮膚や白目が黄色くなる状態です。ビリルビンは赤血球が分解される際に血液中に放出され、本来は肝臓で処理され胆汁として排出されますが、処理が追いつかないと体内に蓄積され黄疸が生じます。特に1歳未満の乳児に多く見られる理由は、乳児の肝機能の未熟さにあります。
黄疸の症状
黄疸が現れると、以下のような変化が見られます。
- 皮膚や白目の黄染:黄疸の最も典型的な症状。最初に白目と顔に現れ、その後身体や手足に広がる
- 眠気:ビリルビンの増加により、過剰に眠気を感じやすくなる
- 食欲不振:眠気に伴って食欲も低下する
- 尿の色の変化:尿が濃い黄色や茶色になる場合がある
- 便の色の変化:便の色が薄く白っぽくなることがある
こうした黄疸の影響で、体重増加の遷延や脱水症状などが起こります。
また、高濃度のビリルビンが蓄積することで、脳がダメージを受ける場合もあります。これは核黄疸と呼ばれるもので、永久的な神経学的障害(運動障害、知的障害、視覚障害など)や発達遅延などの原因となる可能性もあります。
黄疸のチェック法
黄疸の観察は自然光の下で行いましょう。白目や皮膚の黄染、便・尿の色、赤ちゃんの行動などをチェックします。
皮膚を軽く圧迫して色の変化を見る「圧迫試験」も有効です。指で赤ちゃんの皮膚を軽く押してから離し、押した部分の色が黄色いかどうかを確認する方法です。
新生児の場合、母子手帳のスケールと照らし合わせながら判断しましょう。
黄疸の分類
新生児の黄疸は主に以下のように分類されます
- 生理的黄疸:ほぼすべての新生児に認められ、生後2〜3日から始まり、1〜2週間で自然に改善する。
- 母乳黄疸:母乳に含まれる成分が一時的にビリルビンの代謝を妨げることによって起こる。生後3~4ヶ月頃までに自然に改善する。母乳は継続が推奨される。
- 新生児溶血性黄疸:母子の血液型が異なることが原因で起こる病的黄疸。母親がO型、新生児がAもしくはB型の場合に、1割程度の割合で発症する。多くの場合は光線療法や免疫グロブリン投与の治療が行われ、重症例では交換輸血が行われる。
- 新生児肝炎:肝炎によりビリルビンの処理が障害されて黄疸が現れる。ビタミン補給や薬物治療で管理し、多くの場合は予後良好で、1歳頃までには軽快する。
- 胆道閉鎖症:胆汁の排出路が閉塞し、重篤な閉塞性黄疸を引き起こす。先天的に胆道が閉鎖していることなどが原因で、1万人に1人の頻度で発症する。肝硬変に至る場合もあるため、早期の外科手術(葛西手術)が必要。
黄疸の治療法
光線療法
体に負担をかけない非侵襲的な治療法で、青色の光を照射することでビリルビンを分解し、体外に排出しやすくします。閉塞性黄疸には効果がありません。
具体的には、黄疸のある新生児を保育器の中に寝かせ、全身に光を照射するという方法になります。照射する光に網膜毒性と性腺毒性があるため、目の保護とおむつの着用をした上で行われます。
交換輸血
重度の新生児溶結性黄疸の場合に行われます。透析のように血液を抜きながら輸血をすることで、体内の血液を入れ替える方法です。貧血の改善や核黄疸(ビリルビン脳症)の予防などの効果が期待できます。
まとめ
黄疸は赤ちゃんの肝機能が未熟なために起こるもので、その多くは生後数ヶ月以内に自然に治癒します。しかし稀に重篤なケースもあるため、心配な場合は医師に相談しましょう。
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